1学期終業式に寄せて
2026年7月21日 16時35分本日で、無事に1学期が終了しました。
いよいよ待ちに待った夏休みに入りますが、今年も連日のように厳しい暑さが続いています。まずは何よりも、熱中症には十分に気を付けて過ごしてください。
さて、この夏休みを迎えるにあたり、皆さんがこの期間に大きく成長し、私たちの鶴来高校がさらに魅力ある学校になっていくために、私から「2つの願い」をお話しします。
まず、一つ目の願い。 それは、「自分で考えて行動できる人間になってもらいたい」ということです。いわゆる「自立」です。
夏休みに入ると授業がなくなり、自分で自由に使える時間が一気に増えます。この時間をどう活かすかで、皆さんの未来は大きく変わります。部活動に汗を流す人も多いと思いますが、1学期の学習を振り返り、2学期に向けた準備もしっかりと進めてください。進学補習や就職講座など、学校でも皆さんの挑戦をサポートする用意を整えています。自分の希望する進路に向けて、準備を怠らないようにしましょう。
特に3年生。 今、それぞれの進路実現に向けて、必死に机に向かっていることと思います。これまで部活動に全てのエネルギーを注いできた人は、その強い情熱を、今度は受験勉強へとシフトチェンジしてください。 よく「受験勉強は団体戦」と言われます。一人では挫けそうになることも、仲間と競い合い、教え合い、励まし合うことで乗り越えられます。スマホや遊びといった目先の誘惑に負けず、お互いに良い刺激を与え合いながら進路実現に向かって進んでください。この「45日間」をどう過ごすかで、秋以降に大きな差となって現れます。
そして、1・2年生のみなさん。 1年生は、鶴来高校に入学して4ヶ月が経ちました。高校生活には慣れ、充実した日々を送れているでしょうか。 2年生は、3年生が引退した部活動も多いはずです。最上級生として、部を力強く引っ張っていく覚悟はできているでしょうか。
自分自身ではなかなか気づかないかもしれませんが、入学した頃に比べると、皆さんは確実に、一人の大人として成長しています。 たとえば、「挨拶される前に、自分から笑顔で挨拶をする」「周囲に気を配り、困っている人に声をかける」「教室の汚れに気づいたら、進んで掃除をする」「登校や移動教室では5分前に行動する」「部活動で後輩を丁寧に指導する」「学校行事でクラスのために動く」。これらはすべて、皆さんが「自立」に向かって、必要な力を着実に身に付けている証拠です。
誰か一人が動けば、まずクラスの雰囲気が変わります。クラスが変われば、学年が変わります。そして学年が変われば、学校全体が変わります。 いつの時代も、世の中を大きく変えるのは「最初の1人」の行動です。ぜひ皆さんには、自分で考えて行動できる「自立した人」へと成長してほしいと願っています。これが、一つ目の願いです。
続いて、二つ目の願いです。 それは、「最強の上級生になってほしい」ということです。
先月の体育祭では、1年生から3年生までが一つになる「団対抗戦」が行われ、クラスや学年の垣根を越えた素晴らしい団結力を見せてくれました。特に3年生の頼もしいリーダーシップと、それに全力で応えて支える1・2年生の姿には、本当に胸が熱くなりました。
次は、来月に控える「鶴翔(かくしょう)祭」です。 3年生は、ここでも最高のリーダーシップを発揮し、文字通り「最強の上級生」としての姿を後輩たちに見せてください。鶴翔祭が最高の思い出になるかどうかは、3年生の皆さんの肩にかかっています。
これに関連して、私が非常に感銘を受けた、あるスポーツ界の実践例を紹介します。
それは、帝京大学ラグビー部の前監督であり、現在は同大学スポーツ局長を務めていらっしゃる、岩出 雅之(いわで まさゆき)さんのお話です。
帝京大学ラグビー部といえば、今から8年前の平成30年に、大学選手権で前人未踏の「9連覇」を達成しました。毎年、選手が入れ替わる大学スポーツにおいて、これほどの連覇を成し遂げることは、並大抵のことではありません。岩出監督はその功績が称えられ、その年の優れた指導者に贈られる『ジャパン コーチズアワード』で、箱根駅伝で有名な青山学院大学の原晋(はら すすむ)監督や、サッカー日本代表を率いる森保一(もりやす はじめ)監督(当時はサンフレッチェ広島の監督)といった、並み居る名将を抑え、最優秀コーチ賞を受賞されました。
この岩出監督の著書『負けない作法』の中に、まさにこの「最強の上級生」に関する、大変興味深いエピソードが書かれています。少し紹介します。
「大学の運動部と聞いて、明るいイメージを持つ人は少ないでしょう。『上下関係が厳しく、下級生は理不尽な要求をされ、厳しい雑用に追われる』。新入生はそんなイメージを持って、ドキドキしながら入部してきます。
しかし、帝京大学ラグビー部では、最上級生である4年生が、最もよく働きます。ほうきや雑巾を持って駆け回り、食事の支度や片付けなど、いつも忙しそうに動いています。 運動部にありがちな、上級生が威張り散らす空気はまったくありません。学年が上がるにつれて雑用が減って楽になるのではなく、反対に、学年が上がるにつれて役割が増え、大変になっていくのです。
なぜ、そんなことをしているのか。理由は簡単です。 入ってきたばかりの1年生には、まだ心に『余裕』がないからです。自分のことで精一杯のときに、周囲に気を配ってチームのために行動することは不可能です。 1年生が安心してラグビーに打ち込み、のびのびとプレーできるのは、心に余裕のある人、つまり『上級生の支え』があってこそなのです。 後輩たちは、そうして大切に扱われる環境の中で、自分を大切にすることを学び、少しずつ成長していくのです。」
私は、この話に深く感動しました。ここにこそ、帝京大学が勝ち続けられた本当の強さ、そして「ゆとり」や「余裕」の秘密があるのだと確信しています。
こうした温かく、かつ強い教えの中で育った「最強の上級生」が率いる集団は、何があっても揺るぎません。だからこそ、彼らは卒業後も日本代表として世界を舞台に活躍し続けているのです。
我が鶴来高校も、日頃から地域の方々より、たくさんの温かいお褒めの言葉をいただいています。だからこそ、皆さんにはこの夏、そして2学期に向けて「最強の上級生」となって、一人一人が高い意識を持ち、この鶴来高校をさらに引っ張っていってほしいと思います。
明日からの夏休み、どうか事故や怪我、体調管理には十分に注意して、実り多き日々にしてください。鶴翔祭で、一回り大きくなった皆さんの元気な顔に会えることを楽しみにしています。