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校長室より「おこらいえ」

マンホールの謎とトマトの謎と

2026年3月21日 18時30分

811 日目

昨年茨城県の校長会で
講師を務めさせていただきました
その際SSH(スーパーサイエンスハイスクール)である
日立第一高校の細貝校長先生より
生徒さんの科学研究について 
お話をしていただきました

防災に関する研究があり
後ほどその発表ポスターを
送っていただいただきました

実験観察考察とも
たいへん素晴らしいものでした
ここに紹介させていただきます

まずは震災時における
マンホールの浮き上がりに関する研究です

マンホールの形状と浮き上がり.pdf  

地震が起こると
場所によって液状化現象を起こします
今回の能登半島地震でも
2000箇所以上で確認されました
液状化が起こると
マンホールの浮き上がり現象がおこります

図1
朝市の周辺でもあちこちで見られました
それが消防車の行手を阻んだことも原因で
大火災となったのです

日立第一高校の生徒さんたちは
マンホールの浮き上がりの
メカニズムを調べてみました

まずはマンホールの形状に
着目しました
円柱のほか
三角柱・四角柱・五角柱・六角柱
模型を作って
ガラスビーズに沈め 

実験を重ねました

すると三角柱のものが 
最も浮きあがりが少なかったそうです
彼らはそれが
側面積の大きさに関係すると考えました
摩擦力が大きいからです

であるなら  
三角柱のマンホールにすれば
いいような気もしますが
そうもいかない理由があるのです
マンホールのフタは丸でないと
いけないのです
その理由はこちら 

IMG_1884 

例えば四角いマンホールがあった場合
フタが落ちてしまう危険があるのです
三角柱の場合も同じです
唯一落ちないのが丸なのです

しかし三角形であっても
フタが落ちないものがあります
これです

IMG_1880

ルーローの三角形といいます
各頂点から各辺の長さを半径とする
孤を描いています

何か見たことある形ではありませんか?
ルンバです
なぜルンバがこの形をしているのか
それにも理由があります
どうして円だと都合が悪いのか?
正三角形だとどんな困ったことが
起こるのか?
ぜひ自分で考えてみましょう
 

さて彼らは次に
より実際のものに近づけるため
ガラスビーズを山砂に変えて
マンホールの密度も揃えるなど
実験の精度を上げました
すると先ほどの実験とは
異なる結果が得られました

結局マンホールの形状が
浮き上がりに関係があること
そしてそれは表面積とは
一次関数的な関係がないことを
突き止めました

ガラスビーズは
一定の大きさであるのに対して
山砂は様々な大きさの粒子があること
ある程度の水を含んだ土に
振動を加えると
粒子の細かい土が
粒子の粗い土の隙間に入り込み
その分水が浮き出てくることが
液状化現象のメカニズムですので
その辺も関係あるかもしれませんね
 
 
 
表面積を増やす方法として
羽根をつけてみるという案は
いかがでしょうか
羽根の形状も
縦にしたり横にしたり斜めにしたり
色々と発展性のある
魅力あるテーマですね
この研究の成果によって
浮き上がらないマンホールが開発できれば
輪島朝市のような悲しい思いを
二度とすることがなくなります

考察を加えながら
実験方法に改良を重ねる
素晴らしい研究でした
彼らは3年生で卒業ですが
ぜひ後輩のみなさんに
引き継いでいただきたい研究です

また別のグループでは
予想雨量を活用した
ダムの洪水調節方法について
研究しました

ダムの洪水調節.pdf

さらに
流水中の真砂土が侵食力に与える影響
について研究しているグループ
もありました
 

いずれも
しっかりと先行研究を踏まえ
実験計画も綿密に考えられ
様々な助言を受けながら考察し
さらに研究の発展性についても
言及できている
素晴らしいものでした
 

 
 


【今日のえちえちえっち】最終回
 今日はこのコーナーでも
 課題研究の紹介をします
 私がSSH校で初めて担当した

 グループです

 彼らは別の高校で行われた
 ある研究に着目しました

 それは

 「植物を育てる時に
  声かけするとよく育つ」
 というものです

 先行研究に対して疑問が湧きました

 言葉を本当に理解しているのか?
 単に空気の振動の影響ではないか?

 実験計画は次の通りです
 ① 面白い話と感動する話の比較

 ② 生楽器の音と電子音の比較
  
 ③ 日本語と他国語の比較
 調査対象としてトマトを選びました

 ①ではギャグとお説教を聞かせながら
 育ててみました

 ③ではイタリアントマトと日本のトマトに

 イタリア語と日本語で話しかけました

 なお短期的な影響を最小限にとどめるため
 収穫3日前から移動や灌水を

 行わないことにしました

 結果は全ての実験において
 伸長成長・肥大成長・葉の数など
 何ら違いは認められませんでした

 収穫したトマトの実について
 調べてみることとしました
 トマトを収穫し

 同じ調理法でパスタを作って
 試食してもらいました

 アンケートの結果
 被験者の性別・年齢・体調など

 あらゆる比較をしてみましたが

 何ら傾向は認められませんでした

 ここで実験上のミスが発覚します
 3日前から灌水を行わないはずだったのが

 メンバーのひとりがうっかり

 一部のトマトに水をあげていたことが

 判明したのです

 生徒はデータの見直しを始めました

 うっかり水をあげた方をA
 そうでない方をBとしましょう

 Aで作ったパスタとBで作ったパスタ
 美味しく感じたのはほぼ同数でしたが

 その理由に着目してみると

 Aが美味しい理由
  みずみずしいから
 
 
 軽やかだから
 
  さっぱりしているから

  Bはくどいから
 Bが美味しい理由

 
 甘みを感じる
  旨みがある

  濃厚だから

  Aは水っぽい 
 いかがでしょう
 味に対する個人の好みがあるでしょうが

 全ての人がAの水分量が多いと感じています

 なお音を聴かせない対照実験においては
 この違いは認められませんでした

 カナダのマクギル大学の研究に
 「母ネズミの子ネズミへの愛情が
  小ネズミの生涯に良い影響を与える」
 とあります

 「母ネズミに舐められたり
  頻繁に毛繕いをされたりして

  成長した小ネズミは

  ストレス耐性遺伝子が

  活性化する」

 というものです

 小ネズミには
 ストレスに対処する能力を
     
 決定する遺伝子がある 
 その遺伝子は
 母ネズミの愛情によって

 はたらきだす

 生徒たちは
 植物も同様で
 トマトにはストレス耐性遺伝子が存在し

 それが音楽的刺激によって

 飢餓状態における
 水分吸収能力を高めた可能性があるのではないかと
 結論づけました

 ところが発表会において
 このグループの研究は

 評価者の大学教授から
 「こんなものは研究じゃない!」
 
 と散々にこけおろされたのでした

 なす術もなくステージ上に立ち尽くす生徒たちに
 私は客席から何のフォローもできませんでした

 というか教授に反論する気も湧きませんでした
 生徒たちが自分たちで考え
 やり抜いたことに

 何よりも価値を感じていたからです

 
 この時の生徒のひとりは
 和倉温泉で今

 素敵な洋食レストランをやっています

 この時のトマトの経験が 
 役立っているはずもないでしょうが
 震災の後もお店を復活させて

 頑張っています

 料理人の競技会「RED U-35」に挑戦し
 震災で被害を受けた
 能登牛の現状を伝えたいと
  「能登牛と能登豚の薪焼きハンバーグ」で
 
 最終審査の5人のファイナリストに

 選ばれるほどの若きイケメンシェフです

 ぜひ行ってみてください
 「輪島高校校長のブログを見て来たよ」
 と言ってくだされば

 話に花が咲くといった特典がついてきます

 多分