H26.3月(支えられて今日の日)
38年間の教員生活は、子どもの心を掴むための悪戦苦闘の日々であったと思います。初任校で4年生を担任し、いきなり私の前に立ちはだかる、大柄で目つきの鋭い二人の男子児童に悩みました。どうして攻撃的な行動ばかりとるのか、未熟な私には理解できず、涙のにじむ眼で理由を教えろと睨みつけるしかありませんでした。今なら、彼らの思いに寄り添うことができます。児童の表情は様々ですが、清新でキラキラと輝く笑顔にいつも希望を与えられ、崇高な職務を全うできたことは大きな喜びです。
私が教師としての魅力を持ちたいと願ったのは、地元の小さな学校に帰った7年後のことです。そこの教頭は、若い私とはいくつも年が離れているのに、常に多くの児童に囲まれていました。私は密かにその理由を探り続けました。そして、ある日ついにわかったのです。それは、表情豊かに与えられる正当で肯定的な評価でした。次の日から早速実践。しかし、そう簡単にはうまくはいきません。正当な評価など、一朝一夕にできるはずもなかったのです。それをきっかけに、私は新たな教師への道を歩み始めました。
H26.3月(世界は自分の中に)
世界は、自分の中に
42名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
平成24年4月に入学して早6年、皆さんは小学校の教育課程を立派に修了し、今日の日を迎えることができました。心からお祝いします。
さて、昨年12月に取り組んだマイ椀づくり。どの作品にも、それぞれに思いを込めたモチーフが描き出されていました。最も多かったテーマは、「家族」と「夢」に関するものでした。父や母、兄弟に感謝を伝え、家族の幸せを祈る作品や、いろいろな花や動物を彫り込み、花言葉と動物の特徴を引き合いに将来への夢を表現した作品がたくさん並びました。
その中で最も私の目を引いたモチーフは、「成長」です。その一つは「階段」で表現され、もう一つは「樹木」で表されていました。「階段」は一段目を手前に配し、奥に向かって登るように構成されており、「樹木」は若芽が出て、どんどん大きく伸びていく過程を横並べにしてありました。
この二つの作品に共通するのは、自分の成長をしっかり見つめているということです。階段は心の成長を表し、樹木の高さは体の成長を意味するのでしょうか。どちらも自分が歩んできた道を振り返り、その歩みを客観的で、正当に評価しています。このように自らの成長をとらえることのできる人こそ、人生の勝者です。この作品を眺めていると、なぜ自分が成長できたのか、これからどこに向かえばよいのかといったつぶやきの声が聞こえてくるように感じました。皆さんがお椀に刻み込んだ成長の姿や感謝の心、将来の夢を携え、中学校のページを力強く開いてほしいと願っています。
新生輪島中学校には新たな出会いがいっぱい待っています。広くて深い知識との出会い、様々な人との出会い、それに、自分自身との出会いなどです。出会いはとても興味深いものであり、自らの可能性を高めてくれるものでもあります。記念すべき第一期生としての活躍に、心からエールを送ります。
最後に、「世界は、自分の心の中に映し出されている」という言葉を贈ります。これは、人生が自分の思い描くように進んでいくことを表しています。どうか、自分のよさを正しく理解し、さらに伸ばし、広めていって下さい。未来はあなたのためにあるのですから。
H26.2月(優れもの授業モデル)
すぐれものとしての授業モデル
本校の学校研究の産物である国語と算数の授業モデル。これは優れものだ。どう優れているのかという疑問への解答は、このモデルを実践・検証することによって与えられるだろう。そして、このモデルの価値を理解した教師は、よい授業の実践者であるはずだ。
<国語科>
<算数科>
H26.1月(新年訓話)
新年訓話
新しいという言葉を聞くと、なんだか気持ちがすがすがしくなります。そして、今年は午年、何でも「うま」くいきそうな予感がしますね。学校図書館の場所が移動し、1階が第1図書室、2階が第2図書室と名前も新しくなりました。そして、書き初め大会。書き初めとは今年初めて書を書くことです。きっと、「うま」い字が書けることでしょう。
元日に、みなさんはどんな願いを立てましたか。私は、家族みんなが健康であることと、河井小学校の一人ひとりがすこやかに育ってくれることを願いました。この願いはきっとかなえられると信じています。
3学期は1年間の締めくくりの学期であるとともに、次の学年に進級するための準備期間でもあります。52日間しかありません。
6年生のみなさんは、もっと少ない48日間です。その最後の日が、3月18日の卒業式です。皆さんは記念すべき輪島中学校の第一期生になります。新たな伝統を築くことのできる力を確実に身につけるために、小学校最後の学習をしっかり修め、胸を張って卒業して下さい。
中学校に入ると、小学校とは違う2つの力が必要になります。その1つは、「予習する力」です。中学校では学習量が大幅に増えるので、どの先生も小学校より速く授業を進めます。だから、生徒は前もって教科書に目を通しておき、大体の学習内容をつかんでおくことが大切です。しかし、予習をしておいても、次の日の授業でまたわからなくなる場合があります。そのままに放っておくと、その次の授業に影響が出てきます。だから、2つ目の「復習する力」が必要です。小学校でしていた家庭学習との違いをよく理解し、3学期の内に予習する力と復習する力を身につけておいてください。
河井小学校の先生方は、だれもが厳かで感動的な卒業式を挙行し、皆さんを中学校へ送り出したいと思っています。ともに一歩一歩進んでいきましょう。
次に、5年生の皆さん、あなたたちは昨年11月に金管鼓隊の引き継ぎ式を終えました。そして、リーダーとしての役割が与えらました。これからが大事です。もう一度、自分の足元を見つめ直してください。リーダーとして人の上に立つということは、下級生があなたを頼りにして後についてくるということです。だから、みんながついて行こうと思う最上級生にならなくてはなりません。そのためには、自分から先頭を切って行動する姿を下級生に見せることが必要です。3学期を通して確かな知識と判断力、そして責任感を身につけてください。
4年生から1年生の皆さんは、一つ上の学年に進むための勉強に打ち込みましょう。
さて、ちょうど今、1年で最も寒い「寒の内」に入っています。1月5日が小寒で20日が大寒、2月4日は立春です。
みなさんは柔道というスポーツを知っていますか。柔道家の上半身と下半身はそれぞれ一枚の丈夫な柔道着だけで包まれ、足は裸足です。1対1で組み合って戦う日本生まれの格闘技です。1年で最も厳しい冬の寒の内にけいこを行うので、これを寒稽古と呼んでいます。なぜ、風邪をひいたり、けがをしたりしやすい悪条件の下で稽古を行うのでしょうか。
それは、厳しい環境の中で人間の本来持っている力が試され、精神が鍛えられるからです。寒稽古では体がつくられるだけでなく、心が強くなるのです。ひやりと冷たい畳と冷たい空気が、その力を閉じ込めようとしますが、それに負けずに立ち向かおうとする気持ちが出てくれば、自分の本当の力が発揮できます。本当の力とは底力であり、実力のことです。この強い心に支えられた実力があれば、どんな困難にも立ち向かい、乗り越えていくことができます。まるでウルトラマンのような強さですね。日本人はこのようにして強い心をつくってきました。
河井小学校の「めざす子ども」の一つに、「たくましい子」という文字があります。たくましいとは、体が丈夫なことに加えて心が強いということです。3学期は、この子どもに近づくことのできる絶好の時期だと言えます。
「たくましい子」になるために、1日1日、1時間1時間を大事にして3学期の学校生活を送りましょう。
H25.12月(研究裏話)
研究裏話
平成25年も残りあとわずかになりました。本校教育進展のためにお力添えをいただきました保護者の皆様、地域の皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。お陰さまで、2学期最後の日を終えることができました。
H25.11月(あえのこと)
能登に伝わるあえのこと
「田の神様、今日はあえのことのお祭りでございます。この一年間田んぼを守っていただき、ありがとうございました。そろそろ寒くなったので家におあがり下さるようお迎えにまいりました。」
と唱えます。家内まで田の神を案内し、
「田の神様、ご両人ながら長い年中を雨の日も風の日もご辛抱下され、ありがとうございました。おかげさまにて豊作を賜り、近年まれな増収を得ましたので皆喜んでおります。お寒かったでしょう。どうぞお暖まりくださいませ。」
と、すでに暖められた座敷で甘酒をふるまい、
「お風呂が沸きましたからおいで下さい。」
と入浴を勧めます。風呂の湯加減を確かめ、背中を洗い、
「ごゆっくりお使いくださいませ。」
と引き下がります。入浴が終わると座敷に案内し、
田に神を見い出した能登人
H25.10月(子育てに全力を)
子育てに全力を
子どもはご家族の宝であり、地域の宝、国の宝です。しかしながら、宝物にするための道のりは決して平坦なものではありません。家庭で暴力を振るようになっては困りますし、社会に出てから人の物をとったり、心を傷つけたりする人間になるようではいけません。
子育ての責任は、親になった者に課せられます。今、お子さんの家庭でのしつけをしっかりしなければならない時です。お子さんを光り輝く宝物にするため、子育てを生活の中心に据えましょう。たとえ仕事が忙しくても、子育てを最優先し、お子さんを立派な人間に育てなければなりません。
子育ての効果を上げる特効薬は、愛情です。いつでも、どんな時でも子どもに最高の愛情を注ぎましょう。その上で、人間としてしなくてはならないこと、してはいけないことをはっきりと教える必要があります。幼少期に親の言うことを聞かないで駄々をこねるようなら、親の厳しい態度を見せることも必要です。年齢が上がり、様々な悩みを抱えるようになった時には、本人の気持ちに寄り添って心情を受容し、経験に裏付けされた人生の先輩としての適切なアドバイスをしてあげて下さい。
子育ては、お子さんが自立するまでの限られた期間に行われる親の責務です。今この時を大切にして、全力を挙げて子育てに当たってほしいと願っています。
H25.9月(空気と水の体積変化)
空気と水の体積変化
「空気と水の体積変化」は、4年生で学習する単元である。注射器の中に空気を閉じ込めてピストンを押せば空気は縮み、手を離すとピストンは元の位置に戻る。それに対し、水を閉じ込めた場合は、ピストンは全く動かず、水は縮まないことを学ぶ。
しかし、この問題は授業で行われるどちらの実験でもなかった。1つの注射器の中に、空気と水の両方が閉じ込められていたのである。問題文は、「手でピストンをおすと下がったが、この時注射器の中の水面はどの位置にあるか、図の中に線で書きなさい。」というものだった。
この設問に挑んだ6年生の約半数は、正しい水の位置を答えることができなかった。しかも、お手上げ状態の児童が2割近くもいたということは、この問題を相当に難しく感じていたものと想像できる。
私は、無解答だった児童の心理を次のように考えた。空気と水が組み合わさった実験をしていないので、「そんなもんわかるわけがないや」と高をくくってしまったのではないか。つまり、この問題の解決に、既習は活かされなかった。しかも、学んだことにぴったり当てはまる場合はいいが、少しひねりを加えられると対応できない・・・。
そこで、児童には学んだことのない課題に出会っても、これまでの知識をもとに考えれば答えにたどり着く場合があることを経験させることにした。例えば、注射器の中に空気と水が混ざっていたとしても、それを別の実験として捉えるのではなく、すでに学んだ空気の性質と水の性質の知識を活かせば、水の位置は変わらないという結果を予測することができること。このことを児童の考えに加えるのである。そして、それを支えるのが根拠と関係付けであると。
話は変わるが、大阪教育大学名誉教授の鈴木善次氏の『科学における「創造性」とは何か~ニュートンの研究を事例に~』を以前読んだ。そこで、鈴木氏は「(科学における)創造性は、既存の知識の有意義な分解と有意義な再結合を生み出す能力である」と述べている。有意義な分解とは既存の知識・データ・技術などを参考にすることであり、有意義な再結合とは創造物を生み出すことである。さらに、創造性の発現にとって重要なのは類推(「類比」ともいう)という方法であるとも記している。
この例示として、鈴木氏はニュートンの「万有引力の法則」の発見に至るいきさつについて論述している。この法則は、コペルニクスやガリレイ、ケプラー、ブラーエ、デカルト、ホイヘンス等の天文学上の重要な研究の後に発表された。鈴木氏は、これらの人物の中で、特に直線運動に関するガリレイの考えと、回転運動に関するケプラーの法則にニュートンが着目した点を重視する。そして、両者に違いはあるものの、その類似性を見出し、類推して導き出したのが万有引力の法則ではないかと結論付けている。さらに、『ニュートンは、既知の「情報」の内容をしっかりと把握、理解していた』ことにも言及している。
空気と水の体積変化には、明らかな違いがある。これを別々の事実として理解するだけでは、両者が混在した場合にどちらがどう変化するのか、あるいはしないのかを考えることは難しいかもしれない。しかし、4年生で学習した時に空気がどのように縮み、水はどんな手ごたえで縮まないのかを実感し、それぞれの様子をイメージし、両者を比較していれば、一度もやったことのない実験ではあるがその結果を予測できたのではないかと思う。つまり、空気と水がそれぞれに持っている性質を根拠とし、空気と水の性質の関係付け(別の性質を持っていること)ができれば、少なくとも無解答の児童はいなかったのではないか。そして、この根拠を取り出す力と関係付ける力の二つを使って正答を導き出せた児童は、創造的に考えることができたと思うのである。
H25.7月(サンショウウオ)
ホクリクサンショウウオ
H25.6月(エネルギーの話)
人間も、生きる活力を得るためにはエネルギーが必要です。その源の一つは、食べ物。お腹が空くとたいていの人は元気がなくなり、へたってしまいます。最近では、ほとんどの食品にエネルギー表示がなされ、各自が摂取量を気遣うようになりました。
児童が学校に登校する力が、本人の心のエネルギーのたまり具合に左右されているとすれば、周囲の人間はその児童のエネルギー量を測定できる機器を開発する必要があります。この測定器を使えば、その児童に今どれくらいエネルギーがたまっているのか即座に分かるのはもちろんのこと、どんな時にエネルギーが補給され、その子の消費効率はどれくらいかなどを記録することができるようになります。そのデータを分析することで、ひょっとすれば心の再生可能エネルギーを発見することに繋がるかもしれません。
H25.5月(読書の習慣化)
読書の習慣化を図る
二宮金次郎像に学ぶ
昔はどこの学校にも二宮金次郎の像が立っていました。背中には薪(たきぎ)を背負い、足にわらじをはき、視線は左手のひらに乗せられた書物に向けられています。二宮金次郎は百数十年前に実在した人物です。
金次郎はかなり大きな地主の長男として神奈川県小田原市に生まれましたが、度重なる大洪水でほとんどの田畑が埋まるなど自然災害に見舞われ、14才で父親、16才で母親が亡くなる不幸に遭い、その後は苦難の多い人生を歩みました。背中の薪は、冬を迎える前に4キロもある山から担いできたもので、書物を読みながら家路に向かう姿を重々しく映しています。金次郎は日中よく働き、夜はわらじや縄をなって弟2人の面倒を見ました。しかし、まもなく2人とも母の実家に預けられ、金次郎は隣のおじさんに引き取られます。夜遅くまで本を読んでいるとおじさんから怒鳴りつけられたこともあったと記されており、本当に金次郎が読書好きだったことを物語っています。
苦難の末に成人した尊徳(金次郎)は、世のため人のために生涯を捧げ、各藩の財政や農村の立て直しに力を尽くしました。
読書は豊かな人間を育てる
昔から「読み」「書き」「そろばん」と言われるように、学びの基本は文字を読むことにあります。読書によって私たちはたくさんのことを知り、色々な人の考えにめぐり会うことができます。それによって、生きる知恵を得るとともに、豊かな心が育ちます。
学力の高い子ほど読書好き
全国学力学習状況調査によれば、学力の高い子ほど、読書好きであるとの結果が出ています。このことは、算数など他の教科と読書との間にも当てはまるようです。
10年間も図書ボランティアが支える
平成15年度に河井小学校の図書ボランティアグループ「ぼちぼちいこう会」が発足して、早11年目になります。第1回の活動日の記録を見ると、
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・日 時 平成15年10月8日(水)13:00~
・参加者 7名
・活動内容 初顔合わせの為、自己紹介
①活動日 毎週木曜日 13:30
②お話し会 月1回、木曜日 13:00
③本の修理・整理・壁面飾り付け
・感想など
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H25.4月(始業式訓話)
今日の皆さんの顔はとても凛凛しく、これまでと少し違うように見えます。それは、きっとみなさんが1学年ずつ進級したからなのでしょうね。本当におめでとう。新1年生42名と7名の新しいお友達を迎え、全校で245名のみなさんがここに集い、平成25年度の始業式を迎えられたことを大変うれしく思います。特に、この3月に閉校した西保小学校の全員の皆さんが、河井小学校に来てくれたことは、この上ない喜びです。
さて、今日から新しい学年がスタートします。去年まではできなかったことでも、この1年間でできるようになることがたくさんあると思います。どうか、目標を持ってチャレンジしてください。
この体育館の左上の壁と、各教室の黒板の上に、皆さんがどんな子に育ってほしいかを示す額が飾ってあります。これは、めざす児童像といい、みなさんにこんな子どもに育ってほしいという先生方の願いが3つ書かれています。
その1つは、「よく考え、やり遂げる子」です。 |
この子は、今まで難しくて分からなかったことが分かるようになり、できなかったことでもできるようになります。よく考えるというのは、なぜそうなのか理由や根拠を見つけることです。やり遂げるとは、途中でやめないで最後まで行うことです。そのためには、がまん強い心が必要です。
2つ目は、「協力し、進んでやる子」です。 |
この子は、自分の力だけではできないことでも、友達の力を借りてやることができます。だから、この子は自分を助けてくれる友達を持っています。よい友達を持つことができたのは、自分から進んでその人にやさしくしてあげたからです。心のやさしい人は、よい友達を持つことができます。
3つ目は、「明るく、たくましい子」です。 |
この子は、出会う人に元気よくあいさつができます。明るいというのは、笑顔でいられるということです。たくましいというのは強いということです。出会った人に、恥ずかしがらずに自分から「こんにちは」とあいさつができるのですから、こんなにたくましいことはありません。
今日は1年間のスタートの日ですから、皆さんに目指してほしい子どもの姿を三つお話しました。どれも簡単ではありませんが、どうかこれからの目標にしてください。