カジメのとろろを化学する
2026年2月18日 16時51分780 日目
冬の能登の味覚カジメのとろろ
カジメにはヨウ素が豊富に含まれます
ヨウ素は古代中国やギリシャで
甲状腺の病気に効くとして
知られていました
ヨウ素には昇華性があります
ドライアイスのように
固体がいきなり気体になる性質です
固体のヨウ素は昇華して
すみれ色の気体になります
すみれ色を表すギリシャ語の iodes
これがヨウ素の名前の由来です
ナポレオン時代のフランスの科学者
クールトワは
火薬の原料である硝石を得るために
海藻灰を煮詰めていました
誤って多量の硫酸を加えたところ
紫色の煙が立ち込めたのです
「魔女の宅急便」冒頭
お母さんが薬を調合する際に
ボワっと紫の煙が立ち上るシーンがありますが
もしかしたらヨウ素かもしれません
クールトワの発見について
ゲイ=リュサックは当初
「塩素の化合物だろう」と
これが未知の元素の発見だとは
気づきませんでした
実はそれ以前にも
海草から紫の煙が上がることには
多くの科学者が気づいていたのですが
不純物や反応の副産物と考え
誰もそれを新元素だとは気づかなかったのです
「見ていたのにそれが何か気づかない」
これは後の科学の発展においての
大きな反省点となっています
「新しいものを既存の理論に当てはめて
理解しようとすると大切なものを見失う
ということです
ヨウ素を含むポピドンヨードという物質は
殺菌効果を持ち
イソジンの主成分となっています
ところで私は恥ずかしながら
ずっとポピヨンヨードと教えていました
チャッピーちゃんに
「ポピドンヨードの間違いでは?」
と指摘され教員40年目にして
初めて気づいた次第です
さらにさらに英語文献を調べてみると
「povidone」
ポピドンやなくてポヴイドンやないかい
チャッピーちゃんも間違えていました
というか私以外にも
間違えている人がたくさんいそうです
「バイオリン」を「バヨリン」と
誤記する小学生のような
かわいい間違いなので
堪忍してもらいましょう
イソジンを使った手品をひとつ
CCレモンを一口含んで
そのままイソジンでうがいをしてみてください
ペッと吐き出すと驚くべきことが
おこりますよ
何がおこるかはやってみてのお楽しみ
ジャガイモにヨウ素液をたらすと
青紫色になるという
小学校の実験もありますね
デンプンを確かめる実験です
デンプンはバネのように
クルクル渦巻いた構造をしていて
ヨウ素の大きさがそのバネに
ピッタリはまり抜けなくなるのです
それで色が変わります
ヨウ素が甲状腺の病気に効くというのは
甲状腺から分泌されるホルモンである
チロキシンにヨウ素が欠かせないからです
赤ちゃんの頃にチロキシンが不足すると
知能の遅れや発達障害を伴う
クレチン病という病気にかかります
海草に多く含まれるヨウ素は
それが海水に溶け出し
海風に乗ってやってくるので
日本のように四方を海に囲まれた国では
水や野菜にも微量に含まれ
クレチン病になることは
まずありません
世界農業遺産にも選定されている
海風にさらされている
白米の千枚田で取れるお米が
格別の味わいであるのは
そんなところにも
理由があるのかもしれません
スイスのような海から遠い国では
クレチン病が多く見られ
アメリカの内陸部では
わざわざヨウ素を配合した
塩が売られているそうです
ヨウ素は白熱灯の中に封入されています
ヨウ素はハロゲンという
元素グループに含まれるので
これをハロゲンランプと言います
使えなくなった電灯の内部に
黒いススのようなものがついているの
みたことありませんか
あれは電灯の光る部分を構成する
フィラメントの成分である
タングステン(元素記号W)が
蒸発してガラス管内側に付着するからです
ヨウ素にはタングステン蒸気と結合する性質があって
ガラス管内側への付着を防ぐ性質があります
電灯を長持ちさせるための工夫です
最近のハロゲンランプには
ヨウ素だけでなく
同じハロゲンの仲間である
塩素や臭素も用いられています
明日は塩素について
学んでみましょう
【話の玉手箱】第 12 話
これまでの教員生活で出会った
なんだかいい話を紹介するコーナー
「私たち大人は
子供がひとりでいると
すぐ心配をしてしまいます
いじめられていないか
一緒に遊ぶお友達がいないのか
これは
子どもはいつも元気で
友達と一緒になって遊ぶもの
という概念が出来上がってしまっている
と理解できます
現代の社会状況においては
学校と家庭が手を携えて
子どもをしっかりと
見守っていかなければ
取り返しのつかないことになる
そんな場合もあります
そのことを理解した上で
子どもがひとりでいる時間を
保証してあげることも
大切であると考えています
『ただひとりで
空を流れる雲を
何もせず
ぼーと見るような時間は
子どもにとって大切である』
誰からも束縛されず
過度の刺激のない場所で
自分だけで過ごす自由な時間こそが
自分と向き合い
物事を深く考える時間なのです
ゆったりとしたときの流れの中で
豊かな想像力を育むことができるのです」
※ 今日の玉手箱は
高知市の初月小学校の
吉村校長先生(当時)のお話を
参考にさせていただきました